// 日本語 · 第 2 回(全 7 回) · 原稿 2026-10-10 · 本サイトで再編・確認 2026-10-12

日本語ノート 2|活用と接続:普通形、て形と自他動詞

普通形は辞書形だけではなく、ひとまとまりの体系です。このノートでは、普通形の四つの形、形容詞と名詞の接続、て形とた形の音便、自動詞と他動詞、そして「ている、てしまう、てくる/ていく」が表す状態と方向を整理します。

  • 初級コース L1–L21 とその後の授業ノート
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07|普通形は辞書形だけではない

まず肯定か否定か、非過去か過去かを決め、それから後ろに続く文型を確認します。普通形はひとまとまりの体系です。

編集者の解説

動詞の 行く/行かない/行った/行かなかった はすべて普通形で、辞書形は非過去肯定の一つの形にすぎません。したがって「普通形+の」には 行くのだけでなく、次の形もあります: 行ったの、行かないの。

一つの文の中で「内側は普通形+外側は丁寧形」という組み合わせが使えます:日本へ行ったことがあります。ただし「文の内側はすべて普通形でなければならない」を一般規則にしてはいけません。理由を表す から/ので も丁寧形に接続でき、直接引用では丁寧な文末を残すこともできます。

普通形はくだけた会話だけに使うものではありません。節、名詞修飾、理由、伝聞、思考を表す文型の基本的な部品です。

「食べない」と「食べません」

形式 文体 典型的な位置
食べない 普通形 普通体の文末、またはほかの構造の中に埋め込む
食べません 丁寧形 完全な文を丁寧に終える
今日は朝ご飯を食べません。 今日は朝ご飯を食べません。
朝ご飯を食べないとき、薬を飲みません。 朝ご飯を食べないとき、薬を飲みません。

普通形の四つの形

品詞 非過去肯定 非過去否定 過去肯定 過去否定
動詞 行く 行かない 行った 行かなかった
い形容詞 高い 高くない 高かった 高くなかった
な形容詞 静かだ 静かではない 静かだった 静かではなかった
名詞 休みだ 休みではない 休みだった 休みではなかった

「ある」の特殊な否定形

丁寧形 普通形
あります ある
ありません ない
ありました あった
ありませんでした なかった

文中は普通形、文末は丁寧形

文 内側 外側
日本へ行ったことがあります。 行った:経験の内容を表す普通形。 あります:丁寧形。
リンさんが昨日買った本を読みました。 買った:「本」を修飾する連体修飾節。 読みました:主節の過去丁寧形。

これらの接続では「だ」を落とさない

学生だから 学生だから
学生だと思います。 学生だと思います。
学生だそうです。 学生だそうです。
静かだから 静かだから
簡単だそうです。 簡単だそうです。

元の冊子のページ:P25、P26

08|い形容詞・な形容詞・名詞:三通りの接続

「きれい」は「い」で終わりますが、な形容詞として扱います。「いい」の活用には「よい」の系列を使います。

編集者の解説

まず品詞を判断してから活用させます:高い → 高くない/高かった/高くて/高くなる;静か → 静かではない/静かだった/静かで/静かになる。

よくない は いい の否定で、悪い は別の語です。静かに話す は、な形容詞を使って動作を修飾しています。一方、先生に聞く の に は動作の相手となる人物を表します。「Nに」をすべて「副詞化」と呼ぶべきではありません。

まず、い形容詞・な形容詞・名詞のどれかを判断します。語尾だけで決めることはできません。

い形容詞

機能 「高い」の形 例
現在否定 高くないです この店は高くないです。
過去肯定 高かったです 昨日は高かったです。
過去否定 高くなかったです 前は高くなかったです。
つなぐ形 高くて 山が高くて、きれいです。
動詞を修飾 高く/薄く 値段を高くする。/薄く切る。
変化 高くなる/高くする 値段が高くなる/値段を高くする

「いい」の不規則な活用

肯定 否定 過去 過去否定 つなぐ形
いい よくない よかった よくなかった よくて

な形容詞

機能 「静か」の形
現在否定 静かではありません
過去肯定 静かでした
名詞を修飾 静かな町
つなぐ形 静かで
動詞を修飾 静かに
変化 静かになる/静かにする

「きれい」は、な形容詞

きれいな部屋

きれいな部屋

きれいではありません。 きれいではありません。
きれいに並べます。 きれいに並べます。
きれいになりました。 きれいになりました。

「じゃありません/ではありません」は主に名詞・な形容詞に接続します。

並列のつなぎ方

品詞 つなぐ形 例
動詞 Vて 朝ご飯を食べて、学校へ行きます。
い形容詞 〜くて この部屋は広くて明るいです。
な形容詞 〜で この町は静かで便利です。
名詞 〜で 父は会社員で、母は先生です。

元の冊子のページ:P27、P28、P90

09|動詞の活用:て形、た形と補足語彙

まず動詞のグループを正しく判断してから、音便を当てはめます。「る」で終わる動詞をすべて一段動詞として扱わないでください。

編集者の解説

着る は一段動詞、切る/帰る/始まる/泊まる は五段動詞です。行く のて形/た形は特例です: 行って/行った。来る は活用によって読み方も変わります:くる、きます、こない、きた。

Vたほうがいい、Vた後で、Vたことがある はいずれもた形を使いますが、働きはそれぞれ助言、相対的な完了、経験です。活用形が同じでも、文全体の意味が同じとは限りません。

て形とた形は同じ音便を共有します。「た」が見えても、文全体が過去だとは限りません。

五段動詞の音便

辞書形の語尾 て形 た形 例
う・つ・る って った 帰る -> 帰って -> 帰った
む・ぶ・ぬ んで んだ 飲む -> 飲んで -> 飲んだ
く いて いた 書く -> 書いて -> 書いた
ぐ いで いだ 泳ぐ -> 泳いで -> 泳いだ
す して した 話す -> 話して -> 話した

一段動詞と不規則動詞

種類 変化
一段 食べる -> 食べて -> 食べた/見る -> 見て -> 見た
する する -> して -> した
来る 来る -> 来て -> 来た
複合 持って来る -> 持って来て -> 持って来た

来る・着る・切る

辞書形 ます形 て形 た形
来る(くる) 来ます(きます) 来て(きて) 来た(きた)
着る(きる) 着ます(きます) 着て(きて) 着た(きた)
切る(きる) 切ります(きります) 切って(きって) 切った(きった)

手書きページの動詞を一つの活用表にまとめる

辞書形 ます形 ない形 て形/た形
住む 住みます 住まない 住んで/住んだ
泊まる 泊まります 泊まらない 泊まって/泊まった
始まる 始まります 始まらない 始まって/始まった
出かける 出かけます 出かけない 出かけて/出かけた
出る 出ます 出ない 出て/出た
帰国する 帰国します 帰国しない 帰国して/帰国した
風邪をひく 風邪をひきます 風邪をひかない 風邪をひいて/風邪をひいた
無理をする 無理をします 無理をしない 無理をして/無理をした

元の冊子のページ:P29、P87、P93

10|自他動詞、なる/する、ようになる

物事が変化することと、誰かがそれを変えることは、異なる二つの叙述の視点です。

編集者の解説

授業が始まる は授業そのものが始まることを、先生が授業を始める は先生が授業を開始するという動作を表します。なる は主体がある状態になることを表しますが、変化に人がまったく関わっていないとは限りません。する は、変化を引き起こす動作を前面に出します。

動詞で新しい能力・習慣・状態を表すときは ようになる:日本語が話せるようになる は能力の変化、早く起きるようになる は習慣の変化です。必ずしも「だんだん」という意味ではなく、徐々に変わるかどうかは文脈によります。

まず「物が自然にある状態になる」のか、「人が物に動作を加える」のかを判断します。

Nが + 自動詞 / 人が Nを + 他動詞

自動詞 他動詞 対比
ドアが開く ドアを開ける ドアが開く/人がドアを開ける
ドアが閉まる ドアを閉める ドアが閉まる/人がドアを閉める
電気がつく 電気をつける 明かりがつく/人が明かりをつける
電気が消える 電気を消す 明かりが消える/人が明かりを消す
授業が始まる 先生が授業を始める 授業が始まる/先生が授業を始める
予定が決まる 予定を決める 予定が決まる/人が予定を決める

「仕事が終わる」と「仕事をする」

文 焦点
仕事が終わった後で帰ります。 仕事という事柄が終わってから帰る。
仕事をした後で帰ります。 仕事をしてから帰る。焦点は「自分が仕事をする」こと。

「なる」と「する」

自然な変化・主体の変化:なる 人が意図的に変える:する
暖かくなる 部屋を涼しくする
医者になる 字を大きくする
上手になる 部屋をきれいにする
値段が10円になる 値段を10円にする

要る・入る・いる・入れる:意味と格フレームをセットで見る

動詞/種類 読み方 基本の格フレーム 元の例と意味
要る・五段 いる 必要な物が要る 親子丼を作るのに、しょうゆが要ります。
しょうゆが必要。
入る・五段 はいる 物/人が場所に入る しょうゆが容器に入ります。
しょうゆが容器の中に入る。
いる・一段 いる 人/動物が場所にいる 台所に母がいます。
母は台所にいる。
入れる・一段 いれる 人が物を場所に入れる 料理にしょうゆを入れます。
しょうゆを料理に加える。

同じページの語の組み合わせ

正しい形 分析 落とし穴
簡単な料理 な形容詞 + な + 名詞。 「上手」はふつう人や技能を評価する語で、料理そのものを直接評価するのは不自然。
四歳になる 年齢 + に + なる。「満四歳になる」という意味。 「四個/四冊」は別の助数詞で、年齢の代わりにはならない。
めがねをかけている めがねをかけた後の結果状態。 「はく/かぶる/着る」ではない。
靴を脱いで、うちに入る 靴は「脱ぐ」の目的語、うちは「入る」の到達点。 「靴を取る」は、靴を脱ぐという意味の標準的な組み合わせではない。
表したい変化 形式 例
性質の変化 い形:~くなる 寒くなりました。
状態の変化 な形:~になる 元気になりました。
身分の変化 N+になる 先生になりました。
能力の獲得 可能表現+ようになる 日本語が話せるようになりました。
習慣の形成 Vる+ようになる 毎朝早く起きるようになりました。

元の冊子のページ:P20、P21、P90

11|ている:進行・習慣・結果の状態

「ています」を一律に「進行中」と解釈しないでください。まず、動詞自体がどんな種類の出来事を表すかを見ます。

編集者の解説

飲んでいます は多くの場合、動作の進行中を表し、住んでいます は居住の状態、めがねをかけています は通常、かけた後もかけたままでいる状態です。形は同じ「ている」でも、解釈は異なります。

着用の動詞はセットで覚えましょう:帽子をかぶる、めがねをかける、シャツを着る、ズボンをはく。まず正しい動詞を選び、それから身に着ける動作を表すのか、身に着けている状態を表すのかを決めます。

「ています」は、進行中の動作、繰り返しの活動、そして動作の完了後に残る持続的な状態を表せます。

機能 例 判断
進行中 今、コーヒーを飲んでいます。 動作が進行している
反復/職業 日本語を教えています。 継続的に従事している
結果の状態 緑のズボンをはいている人 身に着けた状態が続く
居住/姿勢 日本に住んでいます。/立っています。 状態が続いている

着用の動詞は「着る」「はく」だけではない

身に着けるもの 基本の動詞 状態
帽子 帽子をかぶる 帽子をかぶっている
めがね めがねをかける めがねをかけている
ネクタイ ネクタイをする ネクタイをしている
シャツ・コート・スーツ・着物 〜を着る 〜を着ている
ズボン・スカート・靴 〜をはく 〜をはいている
姿勢 立つ/座る 立っている/座っている

元の冊子のページ:P33

12|てしまう:完了と予想外

残念な気持ちはよくある文脈の一つであって、「てしまう」そのものが必ず否定的な意味を持つわけではありません。

編集者の解説

全部読んでしまう は最後までやり終えることを強調できます。財布を忘れてしまった のほうは、出来事そのものによって後悔の気持ちが伴うことが多いのです。口語の縮約では、元のて形の清音・濁音を保ちます:てしまう → ちゃう,でしまう → じゃう。

同じ形で、最後までやり遂げることを強調することも、文脈によって予想外・残念・取り返しがつかないことを表すこともできます。

機能 例 ニュアンス
完了/最後までやる この本を全部読んでしまいます。 一冊全部読み終える。否定的とは限らない
予想外/残念 財布を電車に忘れてしまいました。 うっかり忘れた
取り返しがつかない 寝坊してしまいました。 すでに起きたこと

口語の縮約形

元の形 口語 例
〜てしまう 〜ちゃう 食べてしまう -> 食べちゃう
〜てしまった 〜ちゃった 忘れてしまった -> 忘れちゃった
〜でしまう 〜じゃう 読んでしまう -> 読んじゃう
〜でしまった 〜じゃった 飲んでしまった -> 飲んじゃった

元の冊子のページ:P34

13|てくる/ていく:基準点と方向

「どこがこちら側か」と「どの時点が今か」を同時に見たうえで、来る/行くを理解します。

編集者の解説

買いに来る は買うために来ること、買ってくる は多くの場合、買いに行ってから基準点に戻ってくることです。前者の に は移動の目的を表し、後者の てくる は動作を「基準点へ戻る/向かう」という枠組みに入れます。

分かってきた は変化を現在までつなげ、勉強していく は活動を未来へと延ばします。これは方向の関係であって、 てくる=次第に、ていく=持続 という一対一の訳ではありません。

要点は単なる「来る/行く」ではなく、話し手・現在・基準点に対する方向です。

空間の方向

形式 方向 例
持ってくる 話し手/基準点の側へ持ってくる この本を持ってきてください。
持っていく 基準点からほかの場所へ持っていく 傘を学校へ持っていきます。
買ってくる 買いに行って戻る/買って持ち帰る パンを買ってきます。
行ってくる 行ってから戻ってくる ちょっと行ってきます。

時間の方向

過去 ─────→ 現在:〜てくる / 現在 ─────→ 未来:〜ていく

日本語が少しずつ分かってきました。 日本語が少しずつ分かってきました。
これからも勉強していきます。 これからも勉強していきます。
知らない人が話しかけてきました。 知らない人が話しかけてきました。

「買いに来る」と「買ってくる」

形式 意味
買いに来る 買うために来る。「に」は移動の目的
買ってくる 買いに行ってから基準点に戻る/物を持ち帰る
買ってきたもの 買って帰ってきた物。前の部分は連体修飾節

最もよくある文脈は「ちょっと聞きに行って、聞き終わったら戻ってくる」という場面です。一つの決まった言い回しではなく、「ちょっと + 聞いて + きます」の組み合わせです。

要素 機能
ちょっと 「少し・短時間」の意味。語気を和らげ、動作を軽く短いものに感じさせる働きもある。
聞いて 「聞く」のて形。文脈によって「尋ねる」にも「聴く」にもなる。
きます Vてくる:今いる場所を離れてVをし、その後ここ/基準点に戻ってくる。

現在地「私はここにいる」→聞きに行く -> 聞き終える -> 戻る

省略された要素は文脈で補う

(私は)先生に ちょっと聞いてきます。=(私が)先生のところへ行って少し聞き、また戻ってくる。

(私は)受付で ちょっと聞いてきます。=(私が)受付へ行って少し聞き、また戻ってくる。

四つの文の最小対比

形式 ニュアンスの要点
ちょっと聞きます。 少し尋ねる/聴く。移動や戻りの情報はない。
ちょっと聞いてみます。 試しに聞いてみる。重点は試み。
ちょっと聞きに行きます。 尋ねるために行く。重点は移動の目的で、「戻ってくる」ことは明示されない。
ちょっと聞いてきます。 ちょっと聞きに行って戻ってくる。重点は往復と動作の完了。

元の冊子のページ:P35、P36