// 日本語 · 第 4 回(全 7 回) · 原稿 2026-10-10 · 本サイトで再編・確認 2026-10-12

日本語ノート 4|理由、意図、情報源:んです、から、つもり、そう

訳すと同じ「理由」「推測」「予定」に見える表現でも、日本語では語気、情報源、決定者によって異なる形を選びます。このノートでは、理由、逆接、列挙、「わけ」、引用、予定、推測を整理します。

  • 初級コース L1–L21 とその後の授業ノート
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  • 日本語の例文は三言語版すべてで原文のまま

20|んです/のです:事実を背景として示す

すべての「です」を「んです」に置き換えるわけではありません。「んです」は状況を補足したり、尋ねたり、説明したりする表現です。

編集者の解説

熱があります は状況の報告、熱があるんです は発熱を説明すべき背景として示します。たとえば、具合が悪い理由や休む理由を説明するときです。どうしたんですか は、気づいた異変について相手に説明を求めます。

名詞・な形容詞の非過去肯定は なんです:風邪なんです/静かなんです。過去と否定では、対応する普通形をそのまま使います:風邪だったんです/静かではないんです。

初期のチャットでは 静かなんです が一時、正しい例と誤った例の両方に載っていましたが、これは誤った表示です。形そのものは正しく、本版ではその×印を引き継ぎません。

品詞 非過去肯定 否定 過去
動詞 行くんです 行かないんです 行ったんです
い形 痛いんです 痛くないんです 痛かったんです
な形 静かなんです 静かではないんです 静かだったんです
名詞 風邪なんです 風邪ではないんです 風邪だったんです

どうしたんですか。

どうしたんですか。

風邪をひいたんです。寒気もします。

風邪をひいたんです。寒気もします。

元の冊子のページ:P10、P87、P93

21|から/ので/ため:理由、文体、ニュアンス

「普通形+ので」は基本的な教え方であって、「丁寧形には接続できない」という禁止ではありません。

編集者の解説

元の冊子ではすでに から が普通体にも丁寧体にも接続できると修正しています。今回は、同じく重要な ので も補います:行くので/行きますので、休みなので/休みですので はどちらも成り立ちます。

から は前の節をより直接的に理由として示す傾向があり、ので は状況の説明に近いことがよくあります。ただし「主観/客観」は語感の大まかなまとめにすぎず、正誤を分ける基準にはなりません。「ので」は丁寧な依頼を導くこともでき、後ろの文に「ください」があるからといって必ず誤りになるわけではありません。

原因の ため(に) と目的の ために は区別します:台風のため は原因、健康のために は多くの場合、目的や利益を表します。まず前後の出来事の関係を判断し、それから形を見ます。

品詞 から:普通体 ので:普通体 丁寧体でも可
動詞 行くから 行くので 行きますから/行きますので
い形 寒いから 寒いので 寒いですから/寒いですので
な形 静かだから 静かなので 静かですから/静かですので
名詞 休みだから 休みなので 休みですから/休みですので

明日は休みなので、家にいます。

明日は休みなので、家にいます。

すみません。電車が遅れていますので、少しお待ちください。

すみません。電車が遅れていますので、少しお待ちください。

本版で作った文法の例文で、リアルタイムの交通情報ではありません。

理由の問答:からです

どうして学校を休みましたか。/熱があったからです。

どうして学校を休みましたか。/熱があったからです。

「です」は理由を答える文全体のいちばん外側にあります。語気は、会話の相手との関係に合わせる必要があります。

元の冊子のページ:P30、P42、P87

22|のに/ものの/にもかかわらず/けど

まず、普通の対比なのか、予想に反することなのか、書き言葉の譲歩なのかを判断します。「しかし」に当たる語を探すだけでは不十分です。

編集者の解説

のに は「本来ならこうではないはずだ」という、予想に反する気持ちを伴うことが多く、けど/が はより一般的な対比で、話題をつないだり依頼を和らげたりすることもできます。ものの は前の事柄を認めたうえで、期待どおりにならなかった現実を述べます。にもかかわらず は、改まった譲歩の表現でよく使われます。

これは感情の強さを決まった順に並べたものではありません:のに はいつも怒っているとは限らず、ものの もどんな文でも のにと置き換えられるわけではありません。本版では元の冊子が示す文体の傾向を残しつつ、それを絶対的な禁止にまでは格上げしません。

形式 主な機能 接続と元資料の例文
のに 期待や予想に反する結果を述べる V普通形/い形容詞+のに、な形容詞・N+なのに。例:薬を飲んだのに、まだ頭が痛いです。
ものの 前の事柄は認めるが、後の事柄は期待どおりではない 日本に来たものの、日本人の友達がほとんどいない。
にもかかわらず …であっても、なお…。より改まった言い方 雨にもかかわらず、試合が行われました。
けど/が 一般的な逆接。話題を切り出す前置きにも使う 日本語は難しいですが、おもしろいです。

用途の「のに」と混同しない

この本は漢字を覚えるのに便利です。

この本は漢字を覚えるのに便利です。

用途:覚える+の+に。「漢字を覚えるにもかかわらず便利だ」という意味ではない。

すみませんが、ちょっと教えてください。

すみませんが、ちょっと教えてください。

ここでの「が」は丁寧な前置きのつなぎで、無理に逆接の「しかし」として解釈する必要はありません。

元の冊子のページ:P45、P66、P87、P88

23|たり/し/と/や/とか:列挙する対象の違い

まず、列挙しているのが名詞か、活動か、それとも判断を支える理由・特徴かを見ます。

編集者の解説

AとB は名詞を並べ、VたりVたりする は代表的な活動を挙げ、AしBし は事実・特徴・理由を並べられます。手書きノートの Aもあるし、Bもある は、 も による追加と し による列挙を同時に使ったもので、新しい動詞の活用ではありません。

たり は、た形から作られますが、時制を決めるのは最後の する/しました。し も丁寧形に接続できます。たとえば ありますし。この二つからも、「『た』があれば過去」「文の中なら普通形だけ」という見方はどちらも当てにならないことがわかります。

「Vた形 + り」は列挙の形にすぎません。文全体の時制・アスペクト・丁寧さは最後の「する」が決めます。

作り方

辞書形 た形 たり形
見る 見た 見たり
読む 読んだ 読んだり
行く 行った 行ったり
する した したり

文全体の時制

文 文全体の解釈
映画を見たり、本を読んだりします。 ふだん/これからこうしたことをする。
映画を見たり、本を読んだりしました。 以前こうしたことをした。
映画を見たり、本を読んだりしていました。 当時こうしたことを続けてしていた。

列挙は網羅的なリストではない

「土曜日は掃除したり、買い物したりします。」は代表的な活動を挙げたもので、ほかのことをする可能性もあります。

形容詞と名詞への応用

値段が高かったり安かったりします。 値段が高かったり安かったりします。
町は静かだったりにぎやかだったりします。 町は静かだったりにぎやかだったりします。
列挙するもの 形式 例
名詞の完全なリスト AとB 机と椅子があります。
名詞の代表例 AやBなど/AとかBとか 飲み物とか、新聞とかがあります。
活動の代表例 Vたり、Vたりする 掃除したり、買い物したりします。
特徴・理由の追加 普通形+し。丁寧形+しも可 時間もあるし、お金もあります。
名詞/な形容詞の非過去肯定+し Nだし/な形語幹だし 休みだし、時間もあります。〔自作の例〕

温泉もあるし、景色もきれいです。

温泉もあるし、景色もきれいです。

手書きノートの応用例をそのまま残しています。「し」を使っても、すべての節に「も」を入れる必要はありません。

元の冊子のページ:P43、P57、P59、P94

24|わけの系列:推論、否定の範囲、責任

「わけではない、わけがない、わけにはいかない」は、それぞれ否定する層が異なります。

編集者の解説

わけではない は一般化や推論を否定することが多く、わけがない は可能性を強く否定し、わけにはいかない は、責任や立場などの要因で、そうするのが適切でないことを表します。三つとも「できない」とまとめて覚えないようにしましょう。

行かないわけにはいかない は「行かないという選択はできない」という意味なので、「行かなければならない」ことになります。否定がどこにかかるかのほうが、文全体をどう訳すかよりも重要です。

どれも「わけ」を含みますが、それぞれ結論、部分否定、論理的な不可能、立場上できないことを表します。

形式 要点 例
わけだ 前の内容から結論を導く。「道理で」/「つまり」 日本に十年住んでいる。日本語が上手なわけだ。
わけではない 「必ずしも〜ではない」。部分否定 高い物が全部いいわけではない。
わけがない あり得ない。筋が通らない 彼がそんなうそをつくわけがない。
わけにはいかない 立場・責任・常識から、できない 明日は試験だから、休むわけにはいかない。
ないわけにはいかない しないという選択はできない、つまり必ずする 約束したので、行かないわけにはいかない。

仕事なので、行かないわけにはいきません。

仕事なので、行かないわけにはいきません。

外側の層が制限しているのは「行かない」という選択です。

元の冊子のページ:P67、P88

25|と思う/と言う/ように言う

発話の内容、発話の時点、依頼を実行する人の三つは、別々に示されます。

編集者の解説

行くと思います の と は思考の内容を導き、行くと言いました は発言の内容を導きます。直接引用では元の発話の「です/ます/ください」をそのまま残せますが、間接的な伝達ではふつう内容をまず普通形に整えます。

ように言う は、任意の事実を引用するのではなく、依頼や指示を伝えるものです。誰が、誰に言い、誰が行うのかをよく見ましょう:先生は私に早く来るように言いました では、依頼を受ける人は「私」です。

「と」は引用の助詞です。「と思います」の前に来る「考えの内容」には普通形を使い、いちばん外側の「思います」だけが丁寧形になります。

[普通形の節] + と + 思います

品詞 非過去肯定 非過去否定 過去肯定 過去否定
動詞 行くと思います 行かないと思います 行ったと思います 行かなかったと思います
い形容詞 高いと思います 高くないと思います 高かったと思います 高くなかったと思います
な形容詞 静かだと思います 静かではないと思います 静かだったと思います 静かではなかったと思います
名詞 学生だと思います 学生ではないと思います 学生だったと思います 学生ではなかったと思います

例文と階層

文 内側の内容
明日は雨が降ると思います。 「雨が降る」は引用される普通形の節。
この店は高くないと思います。 「高くない」は、い形容詞の普通形否定。
テストは簡単だったと思います。 「簡単だった」は、な形容詞の普通形過去。
あの人は先生ではないと思います。 「先生ではない」は名詞の普通形否定。
用途 文型 例
考え/判断 普通形+と思う 静かだと思います。
直接引用 「元の発言」+と言う 先生は「早く来てください」と言いました。
間接引用 普通形+と言う 田中さんは明日来ると言いました。
するように求める Vる+ように言う 先生は私に早く来るように言いました。
しないように求める Vない+ように言う 先生は私に遅れないように言いました。

元の冊子のページ:P31、P89

26|予定/つもり/ことにする/ことになる

弱いものから強いものへ一直線に並ぶわけではありません。それぞれ、取り決め、意志、決定者、成り行きの結果を際立たせます。

編集者の解説

予定 は、そうした取り決めがあることを述べるだけで、それが自分の意志によるものかどうかは直接言いません。つもり は意図を際立たせ、ことにする は自分の決定に焦点を当て、ことになる は外部の取り決めや状況によって生じた結果に焦点を当てます。

覚え方として 予定=航空券はもう買ってある と考えるのは構いませんが、意味を保証するものではありません。同様に、つもり も、その場で決めたことに対していつも最も自然な言い方だというわけではありません。元資料にある「頭の中で決めたこと/スケジュール帳」というたとえは、本版では理解の補助としてのみ残し、必要条件とはしません。

形式 接続 重点 元資料の例/本版の例
予定です Vる/Vない+予定、Nの予定 すでに取り決め・日程がある 来週、帰国する予定です。
つもりです Vる/Vない+つもり 意向・意図 来年、日本へ行くつもりです。
ことにする Vる/Vない+ことにする 自分で決める 日本へ行くことにしました。
ことになる Vる/Vない+ことになる 外部の取り決め/状況による成り行き 日本へ行くことになりました。

「つもり」がいつも将来の意図を表すとは限らない

冗談のつもりでした。

冗談のつもりでした。

初期のまとめから取った補足例です。「Nのつもり」は、「〜するつもり(意図)」の基本的な接続ではありません。

行くことにしました。

行くことにしました。

行くこと自体はまだ未来のことで、「しました」は決定が過去に行われたことを表します。

元の冊子のページ:P68、P91、P94

27|かもしれない/でしょう/はず/に違いない

確信の度合いだけを覚えるのではなく、判断の根拠がどこにあり、話し手がどの程度強く断定しているのかも考えましょう。

編集者の解説

かもしれない は可能性を一つ示し、でしょう は推測を表し、共通の認識を確かめる確認の用法(「〜でしょう?」)もあります。はず は規則・予定・既知の条件から導かれる当然の見込みに重点があり、に違いない は強い確信に重点があります。

どれも推量を表すように見えても、推論の方法は異なることがあります。文法で決まった固定のパーセンテージはありません。また、話し手の確信度を、その事柄が実際に起こる確率とみなすべきでもありません。

形式 見分けるための問い 接続のポイント 例
かもしれません 可能性を示すだけか? な形・Nの非過去肯定では「だ」を付けない 雨かもしれません。
でしょう 推測か、相手への確認か? な形・Nの非過去肯定では「だ」を付けない 明日は雨でしょう。
はずです 既知の条件からすれば、当然そうなるか? な形+な/N+の もう着いているはずです。
に違いありません 強く確信しているか? な形・Nに直接付く 田中さんの字に違いありません。

学生だったかもしれません。

学生だったかもしれません。

「だ」を省くのは「非過去肯定」の欄だけで、過去の「だった」は削りません。

元の冊子のページ:P65、P91、P94

28|そう/らしい/によると:情報源をはっきりさせる

「そうします」の「そう」、伝聞の「そう」、様態の「そう」は、自由に付けられる一つの接尾辞ではありません。

編集者の解説

降るそうです は聞いた情報の伝達、降りそうです は兆候に基づく判断です。活用が一つ違うだけで、情報源が変わってしまいます。そうなんですか は相手の話を受け止める表現で、天気を推測する新しい文型ではありません。

らしい は、このノートでは間接的な情報や兆候に基づく推定として扱います。名詞・な形容詞の非過去肯定にはふつう直接付き、省かれるのは だ。Nらしい には典型性を表す用法もありますが、本ノートの元々の重点ではないため、ここでは同じ規則にまとめません。

訳すと三つとも似た意味になりがちですが、情報源と接続が異なります。

伝聞:普通形 + そうだ

品詞 例
動詞 三時間しか寝なかったそうです。
い形容詞 この店は安いそうです。
な形容詞 テストは簡単だそうです。
名詞 明日は休みだそうです。
否定 キムさんは暇ではないそうです。

様態/兆候の「そう」

形式 意味 作り方
雨が降りそうです。 今にも雨が降るように見える 降ります -> 降り + そう
おいしそうです。 おいしく見える おいしい -> おいし + そう
簡単そうです。 簡単に見える 簡単 + そう

らしい

形式 要点 例
普通形 + らしい 間接的な情報や兆候から「〜のようだ」と判断する 道が濡れています。夜、雨が降ったらしいです。
普通形 + そうだ 比較的はっきりした情報源の内容を伝える 天気予報によると、雨が降るそうです。
形式 要点 例
そうします そのようにする はい、そうします。
そうなんですか なるほど/そうなのか そうなんですか。
普通形+そうです 聞いた情報の伝達 明日は雨だそうです。
ます形の語幹/形容詞の適切な語幹+そうです 兆候/様態 雨が降りそうです。
Nによると 情報源を示す 天気予報によると、雨が降るそうです。

元の冊子のページ:P56、P90