// 日本語 · 全 7 回中の第 1 回 · 原稿 2026-10-10 · 本サイトで再編・確認 2026-10-12

日本語ノート 1|文の構造:述語・格フレーム・助詞

まず述語を見つけてから役割を分け、内側の出来事を完成させてから接続と文末表現を決めます。この記事では、シリーズ全体で使う分析方法を示します。日本語の文を七つのステップで解析する方法、よくある誤りの根本原因、そして名詞文・格フレーム・は/が・移動の表現です。

  • 初級コース L1–L21 とその後の授業ノート
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01|まず構造を組み、それから助詞と語尾を選ぶ

長い文は、一語ずつ訳すのではなく、「出来事の内容」が「外側の述語」に埋め込まれたものとして捉えます。

編集者の解説

このノートは元の冊子の要点を受け継いでいます:述語 → 格役割 → 節の階層 → 接続の形。述語とは、文が最終的に表す動作・状態・判断のことです。格役割とは、それぞれの名詞が述語に対して果たす役割のことです。

読むときは外側から内側へ、文を作るときは内側から外側へ。 読むときは、まず「待っています」を見つけて初めて、その前の部分全体が待つ対象だとわかります。文を作るときは、まず「友達が来る」を完成させ、「の」で名詞化してから「を待っています」につなげます。

「普通形」で解決できるのは形の問題の一部だけです。さらに、事実を述べるのか、目的を表すのか、依頼を伝えるのか、推測なのかを区別する必要があります。同じ動詞でも、外側の構造が変わると意味が変わります。

  • 内側の出来事 [友達 が 来る] 誰が来る?「が」は「来る」に属する
  • 出来事の名詞化 の 出来事全体が一つの成分になる
  • 外側の格と述語 を 待っています 何を待つ?「を」は「待つ」に属する

日本語の文を解析する七つのステップ

手順 問い 操作 例:友だちが来るのを待っています
1 いちばん外側の述語は何か? まず文末を見る。先に助詞を推測しない。 待っています
2 述語はどの格を必要とするか? 基本の格フレームを確認する。 Nを待つ
3 その N は物か、出来事か? 出来事なら、先に内側の節を組み立てる。 「友だちが来る」は一つの出来事
4 内側の述語は何か? 内側の主体・目的語・場所を判断する。 友だちが来る
5 大きな文にどう埋め込むか? の/こと/連体修飾節などを使う。 友だちが来るの
6 右側の接続はどの形を求めるか? 普通形・て形・た形・ます形の語幹から選ぶ。 来る + の
7 いちばん外側の時制と丁寧さは? 「ます/ました」は最後に決める。 待っています

外側:私は [ ]を 待っています。

内側: 友だち が 来る

埋め込み: [友だちが来る]の

完成:私は [友だちが来るの]を 待っています。

元の冊子のページ:P1、P2、P6、P7、P8、P24、P37、P53、P64、P69、P76、P86

02|誤りの診断:どの層から直すか

テストが示すのは解答した時点での弱点であり、能力の評価ではありません。

編集者の解説

元の冊子には、授業後に受けたテスト(L19–L21)1回分の解答が記録され、修正すべき8項目が指摘されています。これは元資料にある過去の解答記録です。本版では再テストを行っておらず、JLPT のレベルにも換算していません。残しているのは誤りの種類と根本原因だけです。

8つの誤りは、問題番号ごとに答えを覚えるより、根本原因ごとに並べ直すほうが役に立ちます:内外の層の混同(経験/偶発/忘却)、格フレームと視点(要る、くれる、同じ)、コロケーションと比較(ほど、もう一度)。

まず「名詞化と忘れる」と「授受」を読み、それから接続一覧と「間違えやすい点」で確認してください。正解した語順の項目も残しています。繰り返し使える分析の仕方を示しているからです。

誤りが集中している範囲

範囲 診断
文中の語彙 「くれる」の視点と、形の似た動詞「要る/入る/いる/入れる」は、まとめて強化する必要がある。
助詞 主な問題は「Aと同じN」の名詞のつなぎ方に集中している。
語彙の選択 「ほど〜ない」「もう一度/また」と時間の副詞は混同しやすい。
活用 「Vたことがある/Vないことがある/Vるのを忘れる」が最優先。
語順 連体修飾節、場所の助詞、「しか+否定」の全体的な組み立ては正しい。

今回の精査で追加した三つの誤解

項目 陥りやすい誤ったルール 正しい判断
原因 から 「から」の前には普通形しか来ない 「要るから」「要りますから」のどちらも成立する。普通形でも丁寧形でもよい。名詞・な形容詞の普通形の肯定には「だ」が必要。
時間の副詞 また=「まだ〜ない」、もう=「すでに」の意味だけ もう=すでに/さらに/(否定で)これ以上〜ない、まだ=依然として/(否定で)いまだ〜ない、また=再び、もうすぐ=間もなく。
忘れる の作用域 結果が「電気を消していない」なので、内側を「消さない」にしてしまう 「消すのを忘れた」の「消す」は本来するはずだった動作。「消さなかった」は外側の結果であり、内側に持ち込んではいけない。

現在の優先順位: ①「ことがある/のを忘れる」の内外の層、②授受の視点と「要る」、③原因の「から」の前の文体、④「もう・まだ・また」、⑤「ほど・同じ」。

以下の 18 項目は単に「正解した」ものではなく、どの規則がすでに混合問題で使えるかを確認したものです。右の列には、逆に取り違えやすい落とし穴も示しています。

状態 正しい形 成り立つ理由と逆の落とし穴
○ 簡単な料理だから、すぐ作ることができます。 「簡単」はな形容詞なので、名詞を修飾するときは「な」を使う。意味の上でも「すぐ作れる」ことの理由になる。
○ 弟は今年四歳になります。 年齢には助数詞「歳」を使う。「四歳」は「よんさい」と読む。
○ 部長はめがねをかけています。 眼鏡には「かける」を使う。「ています」はかけた後の状態の継続を表す。
○ 日本では靴を脱ぎます。 靴は「脱ぐ」の目的語。家に上がるのは「うちに入る」。
○ 会議の前にコピーをしてください。 名詞を「前」につなぐときは「の」、時点全体には「に」を使う。
○ 佐藤さんは渋谷に住んでいます。 「住む」の居住地は「に」で示す。動作の場所の「で」ではない。
○ ケーキの作り方を教えてください。 「ケーキの作り方」は名詞のまとまり。「教える」内容は「を」で示す。
○ 飲み物とか、新聞とかがあります。 「AとかBとか」は話し言葉的な例示の列挙。「や」を使うなら通常は「AやBなど」と言う。
○ ぜひ来てください。 「ぜひ」は希望・勧誘・依頼と結びつくことが多い。「とても」のような程度副詞ではない。
○ 先生が50人います。ほとんど女の先生です。 「ほとんど」は大部分を表す。より明確には「ほとんどが女の先生です」と言える。
○ 友だちが妹におみやげをくれました。 修飾語のない「妹」は通常話し手の妹を指し、話し手側に属する。そのため「くれる」を使う。
○ 田中さんは知らないと思います。 「知る」の一般的な現在否定は「知らない」。引用内容は普通形を使う。
○ 青いスーツを着ている人です。 連体修飾節は普通形を使う。服を身に着けた状態は「着ている」で表す。
○ 今朝、出かける前にエアコンを消しました。 主節が過去でも、「前に」の前は辞書形のまま。
○ 昨日、友だちが来たから宿題ができませんでした。 昨日すでに起きた原因には過去の普通形「来た」を使う。
○ 明日、授業が終わった後で先生と話します。 「た」は前の事柄が後の事柄より先に完了することを表し、文全体が過去になるわけではない。
○ うちの近くにある映画館で映画を見ました。 「うちの近くにある」は「映画館」を修飾する。外側の動作の場所は「で」で示す。
○ うちから駅まで行くのに5分しかかかりません。 「しか」は必ず否定と組み合わせる。「行くのに」は移動にかかる時間を表す。

まず完全な文に戻してから、本当の誤りのパターンを指摘します。太字は練習問題で選ぶべき形です。いちばん右の列には、最も判断を誤りやすい隣接構造を示しています。

覚えておくべき正しい文 成り立つ理由 最も判断を誤りやすい点
母が誕生日に財布をくれました。 母が贈り手で、財布は話し手の側へ移る。だから「くれる」を使う。 「あげる」は送り手から外へ向かう見方。「くださる」は尊敬語で、教材では自分の母親を高める対象にしない。
しょうゆが要りますから、スーパーに買いに行きます。 「要る」の格フレームは「必要な物が要る」。「要ります+から」は丁寧形の原因の節として正しい。 入る=中に入る、いる=人・動物が存在する。「入れる」なら「しょうゆを入れる」と言う。
私はリンさんと同じクラスです。 比較の基準は「と」で示す。「同じ」は名詞を直接修飾し、「の/な」を付けない。 「リンさんの同じクラス」も「同じのクラス」も成り立たない。
先月のテストは、このテストほど難しくなかったです。 否定の比較の骨組みは「AはBほど〜ない」。 まず比較の主題 A を確認する。比較の文だというだけで機械的に「より」を選ばない。
箱根はとてもきれいでした。もう一度行きたいです。 「もう一度」は「もう一回」をはっきり表す。 「また行きたい」も自然だが、問題文にすでに「一度」が印刷されているので、固定の形「もう一度」にする。
ユーリアさんは一度学校を休んだことがあります。 人生の経験には「Vたことがある」を使う。 「休むことがある」は「時々休む」という意味で、過去の経験ではない。
時々ジョギングをしないことがあります。 「時々しない」には「Vないことがある」を使う。 「したことがある」は経験、「することがある」は時々すること。方向が逆。
今朝、部屋の電気を消すのを忘れました。 忘れたのは本来するはずだった「電気を消す」動作なので、内側は「消す」。 「消したのを忘れた」は、消したのに消したこと自体を忘れたという意味。「消さないのを忘れた」は「消さないこと」を忘れたという意味。

元の冊子のページ:P3、P4、P5

03|名詞文・指示詞・丁寧な尋ね方

まず「単独で指し示すもの」と「名詞を修飾するもの」を区別します。「これ」は単独で使えますが、「この」の後には名詞が必要です。

編集者の解説

これは本です の これ は、それだけで一つの成分です。この本 の この は修飾の役割だけを担い、修飾先は後ろの 本。何ですか の なん は「何」の読み方であって、説明の語気を表すものではありません。説明の語気を表すのは んです。

こちら/そちら/あちら/どちら は方向・場所・人物・二者のうちの一方を指すことができ、「ここ/そこ」より範囲が広いです。「どちら」を、どんな場面でも「どれ」と置き換えられる丁寧版だと考えないこと。元の冊子の選択の文では、二つを比べるときは どちら、三つ以上から一つを選ぶときは通常 どれ。

最小の文型、指示詞、丁寧な疑問詞、位置名詞をまず整理しておくと、複雑な文にも安定した枠組みができます。

名詞文

時制 肯定 否定
現在/未来 学生です 学生ではありません
過去 学生でした 学生ではありませんでした
私は学生です。 私は学生です。
昨日は休みでした。 昨日は休みでした。
先週は休みではありませんでした。 先週は休みではありませんでした。

指示詞と場所の指示詞

種類 形式 例
単独で使える これ・それ・あれ・どれ 私のかばんはどれですか。
後ろに名詞が必要 この・その・あの・どの + N どのかばんですか。
場所 ここ・そこ・あそこ・どこ トイレはどこですか。
丁寧/方向 こちら・そちら・あちら・どちら 受付はこちらです。

× どれ本ですか、× どのですか。

「何」と丁寧な疑問詞

形式 機能 例
何ですか(なんですか) 「何であるか」を尋ねる これは何ですか。
形式 機能 例
何の + N 種類・内容・関係を尋ねる 何の本ですか。
何が 「何」が述語のが格になる 何が必要ですか。
何で 道具・交通手段・方法を尋ねる 何で書きますか。
だれ/どなた 人を尋ねる(どなたは丁寧) あの方はどなたですか。
どこ/どちら 場所・方向を尋ねる(どちらは丁寧) お手洗いはどちらですか。

位置名詞

基準の名詞 + の + 位置名詞

机の上、箱の中、駅の前、銀行の隣、家の近く

語 中心となる語感 例
隣(となり) すぐ隣・隣接。同じ種類の空間が並んでいることが多い 銀行の隣に郵便局があります。
そば すぐそば。距離感が近い 駅のそばにコンビニがあります。
近く(ちかく) 付近一帯。範囲は通常より広い 家の近くに公園があります。

手書きノートからの追加:いかがですか

形式 使い方のポイント
こちら この方向・この人。話し手の近く、または話し手側
そちら その方向・その人。聞き手側、またはすでに話題に出た側
あちら 遠くの方向・あの人
どちら どの方向・どの人・二つのうちどちらか。文脈で判断する
いかがですか 「どうですか」をより丁寧に尋ねる

こちらはいかがですか。

こちらはいかがですか。

補遺 P94 の応用例文。

元の冊子のページ:P9、P10、P94

04|述語の格フレームと主な助詞

「名詞が助詞を決める」のではなく、「その名詞がこの述語の中で何をしているか」が助詞を決めます。

編集者の解説

動詞は、役割を伴った完全な組み合わせとして覚えましょう:電車に乗る、電車を降りる、電車で行く。これは互いに矛盾する三つの規則ではなく、乗る対象・離れる対象・交通手段を使った移動という、三つの異なる出来事です。

を は目的語だけでなく、経路や起点も示します。で は活動の舞台、道具、人数のまとまりを示せます。に は、位置・到達点・対象・目的・結果のどれなのかを述語から見分ける必要があります。 にを見ても、すぐに場所の意味だと決めつけないでください。

「助詞を見て動詞を推測する」のではなく、まず述語を決め、次にその出来事の中で各名詞が担う格役割を判断します。

正しくは:まず「食べる・読む・始める・移動する・わかる」のどの述語なのかを決め、次に名詞が主体・目的語・目的・場所・対象のどれなのかを問います。

典型的な格フレーム

述語 まず問うこと 基本の枠組み 例
食べる 何を食べる? Nを食べる 昼ご飯を食べる
読む 何を読む? Nを読む 本を読む
する どんな活動をする? Nをする/Nする 食事をする/勉強する
始まる 何が始まる? Nが始まる 授業が始まる
始める 何を始める? Nを始める 先生が授業を始める
終わる 何が終わる? Nが終わる 仕事が終わる
行く どこへ行く?/何をしに行く? 場所に・へ行く/目的に行く 東京へ行く/旅行に行く
わかる 何がわかる? Nがわかる 日本語がわかる
知る 何を知っている? Nを知る 読み方を知っている
待つ 何を待つ? Nを待つ 友だちを待つ

活動名詞と「する」

食事をする。 「食事」という活動をする。
勉強をする/勉強する。 どちらも可。
ご飯を食べる。 「ご飯する」とは言わない。

意味が近くても格フレームは異なる

意味 日本語 理由
日本語がわかる 日本語がわかる 「わかる」の対象は通常「が」で示す
意味 日本語 理由
読み方を知っている 読み方を知っている 「知る」は他動詞
乗車する 電車に乗る 「乗る」の着点/乗る対象
降車する 電車を降りる 離れる乗り物
電車で移動する 電車で行く 交通手段
先生に尋ねる 先生に聞く 尋ねる相手
音楽を聴く 音楽を聞く 聞く内容

同じ「電話」でも助詞が変わる

文型 役割
友だちと電話で話す 「電話」は話す手段、「友だち」は一緒に話す相手
友だちに電話をかける 「友だち」は電話を受ける相手。「電話をかける」は決まった組み合わせ
電話を使う 「電話」は使われる物
電話に出る 電話を受ける。「に」は応じる/入っていく対象

活動名詞の二通りの表し方

形式 焦点
発音の練習をする 「発音の練習」という活動をする
発音を練習する 「発音」を練習の対象にする

助詞は一対一の訳語ではなく、意味役割として理解します。

を:目的語・経路・起点

機能 例
動作の目的語 本を読む。/コーヒーを飲む。
通過する経路 この道をまっすぐ行く。/公園を歩く。
離れる場所/乗り物 家を出る。/大学を出る。/電車を降りる。

に:点・着点・対象・結果・目的

機能 例
存在する位置 教室に学生がいます。
特定の時刻 7時に起きます。
到着/進入 学校に着く。/教室に入る。
動作の相手 先生に聞く。/父に電話をかける。
書き込む位置 ノートに住所を書く。
変化の結果 医者になる。/半分に切る。
移動の目的 買い物に行く。/遊びに来る。
頻度の基準 一か月に二回行く。
用途/適用 旅行に便利だ。

で:舞台・手段・人数・合計

機能 例
動作の場所 図書館で本を読む。
出来事の場所 学校でコンサートがあります。
道具/方法/交通手段 ボールペンで書く。/電車で行く。
人数 友だちと三人で料理を作る。
数量の合計 三つで300円です。/全部で800円です。

へ、 と、や、か、も、しか、から、まで

形式 要点 例
へ 移動の方向 日本へ行く。
と 共同・すべての列挙・引用・比較 友だちと見る。/「ありがとう」と言う。
や〜など 一部の列挙 机や椅子などがある。
AかB 選択(または) パンかご飯を食べる。
も 追加・全部・強調 私も行く。/六時間も勉強した。
しか + 否定 限定(だけ) 三時間しか寝なかった。
から/まで 起点/終点 9時から5時まで働く。

自然現象と移動の範囲

文 助詞の役割
雨が降る/風が吹く 自然現象の主体は「が」
町が静かになる 変化する主体は「が」
家で休む 休む動作の場所は「で」
公園を散歩する 「を」は歩く範囲/経路を示す
公園で散歩する 「で」は散歩という活動の場所を示す

元の冊子のページ:P11、P12、P15、P16

05|は/が/には、存在と数量

「は」は話題の層、「が」は文の中の役割の層です。両者を「旧情報/新情報」という絶対的な規則に単純化することはできません。

編集者の解説

教室に先生がいます は「教室に誰がいるか」に答え、先生は教室にいます は「先生はどこにいるか」に答えます。訳すとどちらも同じような文になりますが、違いは情報の組み立て方にあります。

には は、引き続き に の位置や対象を表し、そこに は の話題・対比が加わったものです。内側の節の主語は が を基本パターンとしますが、元の冊子が明記しているとおり、従属節で対比の は を使うことが全面的に禁止されているわけではありません。

数量詞は文全体の中で判断します:Tシャツを三枚買います では、すでに を で目的語が示されているので、機械的に二つ目の をは補いません。本版の誤りの判定はこの完全な文脈に基づいており、「数量詞+助詞」をすべて誤りとはしていません。

は:話題と対比

私は学生です。

私について言えば、学生です。

テレビはありますが、コンピューターはありません。

テレビはありますが、コンピューターはありません。

ここでは「は」が対比を作っています。

が:出来事の主体・新情報・存在するもの

母が来ます。 母が来ます。
桜が咲きました。 桜が咲きました。
教室に先生がいます。 教室に先生がいます。
文 焦点
教室に先生がいます。 教室に「誰がいるか」。「先生」が新情報。
先生は教室にいます。 既知の先生が「どこにいるか」。

内側の節の主語

[友だちが来る]前に、部屋を掃除します。

友だちが来る前に、部屋を掃除します。

「友だち」は内側の「来る」の主体なので、「が」を使います。

「が」をとりやすい特殊な述語

述語のグループ 例
わかる 日本語がわかります。
好き/嫌い 音楽が好きです。
上手/下手/苦手 テニスが上手です。
できる フランス語ができます。
述語のグループ 例
欲しい 新しいかばんが欲しいです。

には=に+は

文 対比のポイント
本は机の上にあります。 本は机の上にある。「に」が存在の位置を示す。
本は机の上にはありません。棚の中にあります。 本は机の上ではなく棚の中にある。「には」で場所の対比が加わる。
東京にはありますが、大阪にはありません。 東京にはあるが、大阪にはない。

同じ名詞でも、述語が存在・動作・数量関係のどれを表すかによって助詞が変わります。値段と店での依頼は第29節にまとめています。

存在と出来事

骨組み 例 焦点
場所に物があります 机の上に本があります。 物の存在
場所に人/動物がいます 教室に先生がいます。 人/動物の存在
場所でイベントがあります 学校でコンサートがあります。 出来事がその場所で行われる

存在文の四つの並べ方

骨組み 焦点
Nは場所にあります 既知の N がどこにあるか
Nは場所にはありません N はそこにない。対比あり
場所にNがあります ある場所に何があるか。N が新情報
場所にNはありません そこには N がない。N を対比

数量詞の位置

学生が四人います。 学生が四人います。
Tシャツを三枚買いました。 Tシャツを三枚買いました。
一週間に三回運動します。 一週間に三回運動します。
一回に二時間運動します。 一回に二時間運動します。

元の冊子のページ:P13、P14、P17

06|移動・乗り換え・道の尋ね方と出る

目的地・出発点・交通手段・乗車位置・動作の目的は分けて考える必要があります。

編集者の解説

上野で電車に乗る の 上野で は「乗車」に属します。上野まで電車で一時間かかる は「上野まで行く」のにかかる時間を表します。前の文の助詞をそのまま後の文に移さないでください。

母が来る の「母」は、来る本人です。母に会いに来る では、一つ目の に は 会うの格フレームに属し、二つ目の に は移動の目的を表します。母に来てもらう で人物を示す に は、さらに外側の授受構造に属します。

「目的地・目的・交通手段・乗る対象・起点・動作の場所」を分けて示します。

「電車」と使う三つの基本の助詞

文型 役割 意味
電車に乗る 乗る対象/着点 乗車する
電車を降りる 離れる乗り物 降車する
電車で行く 交通手段 電車で移動する

電車に乗って、東京へ行きます。

「電車に」は「乗る」に、「東京へ」は「行く」に属します。

上野まで電車で一時間かかります。=電車に乗って上野まで行くと一時間かかる。「まで」は終点、「電車で」は手段、「一時間」は「かかる」を直接修飾する。

× 上野で電車に一時間をかかります。

乗り換えの流れ全体

A駅で電車に乗って、B駅で地下鉄に乗り換えて、C駅で降ります。

成分 理由
A駅で 乗車の動作が起こる場所
電車に乗る 乗る乗り物
B駅で 乗り換えが起こる場所
地下鉄に乗り換える 乗り換え先の乗り物
C駅で降りる 降車地点
電車を降りる 離れる乗り物

目的地と目的

東京へ行く。 東京に向かう。 目的地/方向
買い物に行く。 買い物をしに出かける。 活動の目的

目的地と活動の目的

日本へ旅行に行きます。

日本へ旅行に行きます。

日本へ:どこへ行くか。旅行に:何をしに行くか。

道の尋ね方と曲がり方

この道をまっすぐ行ってください。 この道をまっすぐ行ってください。
二つ目の角を右に曲がってください。 二つ目の角を右に曲がってください。
二つ目の角で右に曲がってください。 二つ目の角で右に曲がってください。
形式 焦点
角を曲がる その角を回って進む。経路/曲がる地点
角で曲がる その角の地点で曲がる
右に曲がる 曲がった結果/方向

「来る」は自動詞です。まず「誰が/何が来るのか?」と問います。答えは出来事の主体で、 がを使います。次に「どこに来るのか?」と問います。到達点を示すのは に/へ。

母が 私の家に 来ます。

誰が来る?母が / どこに?私の家に / 述語:来ます

形式 判定 分析
母が来ます。 ○ 「母」は「来る」の主体。「母がやって来る」という意味。
母は来ます。 ○ 「母」を話題または対比にする。「母なら来る」という意味。
母に来ます。 × 単独では不可 人を表す名詞は、通常そのままでは「来る」の到達点になれない。場所か別の動詞を補う。
母を来ます。 × 「来る」は人物を表す直接目的語の「を」をとらない。

「母に」が成り立つのはどんなときか?

正しい文 「に」はどの述語に属するか?
母の家に来ます。 「母の家」が「来る」の到達点。
母のところに来ます。 「母のところ」は「母がいる場所」を表す。
母に会いに来ます。 一つ目の「に」は「会う」の対象、二つ目の「に」は移動の目的。
母に来てもらいます。 「母に」は外側の「てもらう」に属し、母に頼んで来てもらうこと/母が来てくれることを表す。

出る:名詞と助詞で判断する。「外へ出る」だけの意味ではない

組み合わせ全体 読み方/意味 出来事での役割
家を出る いえをでる/家から出かける を:起点
電車が出る でんしゃがでる/電車が出発する が:出発する主体
せきが出る せきがでる/せきをする が:現れる症状
授業に出る じゅぎょうにでる/授業に出席する に:参加する活動
電話に出る でんわにでる/電話を受ける に:応じる対象

元の冊子のページ:P18、P19、P23、P95